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追悼、デットマール・クラマー氏

「日本サッカーの父」デットマール・クラマーさんが他界してしまった。90歳だった。

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彼の日本サッカー界に対する功績は言うまでもないが、実は私もその恩恵を受ける事が出来た一人であっただけに、今回の訃報に驚きと追悼の念を隠せないでいる。

彼の一言がなかったら、今の自分はなかったと確信している。

筑波大学3年時の総理大臣杯・準決勝、対早稲田大学。ハーフ・ライン近くでボールを受け、ドリブルでDFを二人交わし、GKとの1対1になりゴールを決めた過去に何の肩書きもない一選手をピック・アップするよう当時の代表監督であった横山謙三さんに助言してくれた。

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B代表(当時は日本代表はAとBの2カテゴリーのみ)を経て、A代表に招集されることになったが、当時のサッカー界の感覚では、過去に何の実績も持たない選手が代表に呼ばれることはなかったと思う。

過去の実績に捕われず、現状のパフォーマンスで判断してくれたことに感謝すると共に、今の指導者としての自分の中でも、選手と接する上で大切にしている部分となっている。

更に別の局面でもクラマーさんの教えと接することになる。

選手を引退した後の筑波大学大学院で、修論のテーマを決める段階でのこと。当時、世界と戦った時に日本代表のパス・スピードの遅さが際立っていた。

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そこで自分が選手の時にコーチであり、大学院時代はS級の講師であった田嶋さん(現FIFA理事)から、「谷、お前これやってみろ。」とパス・スピードを上げる為の動作解析を打診された。自分一人では出来ない課題であると思ったが、バイオメカニクスの研究者とそのスタッフの皆さん、大学院の同級生と取り組めるということで、トライしてみる事に。

資料を探していると、大学の研究室に、東京オリンピックの日本代表選手達に技術指導をするクラマーさんの映像が残っていた。

キックの基本となる「インサイド・キック」の指導風景も観る事が出来た。

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近距離でのキックは、一瞬インサイドを押し出しているように見えるが、その先を見ていき、距離が伸びてくると、その動きは「スウィング動作」となっていった。押し出すか、全身をしならせてスウィングするかの違いが、日本人のパス・スピードが上がらない大きな要因であると結論付けられることになった。

私の修論の指導教官は松本光弘先生。

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写真・現在の松本先生。

指導者養成を長きに渡り務めてこられた方であり、まさに押し出すキックを指導してきた側でありながら、論文の結論に対し「その通りだな」とという言葉で修論を終えることになった。この『潔さ』に大きな衝撃を受けるとともに、自分も『潔さ』をもった指導者になりたいと強く思った。

一見、クラマーさんの経歴や世代と自分が交わることはないかのように思われるが、実はこのような繋がりがあるくらい彼の日本サッカー界に対する影響力は計り知れないくらい大きなものだったと思っている。

彼の死を悼むと共に、現世に残された指導者の一人として、身が引き締まる想いでいます。

クラマーさん、本当にありがとうございました。

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