私の専門種目であるサッカーを例に挙げて、考えていきたいと思います。
※競技種目が異なっても考え方は同じです
次のデータは直近のワールドカップである南アフリカ大会のものです。
「移動距離とスピード」という観点からサッカーの競技特性を見てみます。
FIFAのWebサイトには全試合、全チーム、前選手の「移動距離とスピード」のデータが記載されています。
今回はその中から4項目をピックアップして見ていきます。
表1. 2010ワールドカップ 南アフリカ大会における移動距離、及びスピード(上位20選手)
ここでは、1試合の平均移動距離と3種類のスピードによる運動時間の違いを示しています。
運動するスピードの違いにより、筋肉を動かすエネルギーを得る為の供給経路は異なります。
細かなメカニズムはわからなくても動くスピードや時間によって身体を動かすエネルギーの生み出し方は異なるということは理解が必要です。
何故なら、そのエネルギー供給経路の違いに対してのトレーニング方法も異なってくるからです。
図1. 運動時間とエネルギー供給経路の関係
前出の表1のデータを、エネルギー供給経路別に円グラフで表示すると次のようになります。
図2. エネルギー供給別の時間割合
この比率を、実際のゲームの時間に当てはめてみます。
サッカーのゲーム時間は90分+アディショナル・タイムですが、実際のプレー時間(=アクチュアリー・タイム)は、ワールドカップレベルのゲームで60分、Jリーグレベルのゲームで50~55分程です。
アクチュアリー・タイムにおける3種のエネルギー供給経路の比率は次の様になります。
[ワールドカップレベル]
Low Power…48分、Middle Power…6分、High Power…6分
[Jリーグレベル]
Low Power…40~44分、Middle Power…5~5.5分、High Power…5~5.5分
このような割合でそれぞれの強度の運動が、ランダムに繰り返されていきます。
時間ではなく距離で比率を見てみると、
Low Power…70%、Middle Power…15%、High Power…15%となり、
例えば1試合10km走った場合の比率は、
Low Power…7km、Middle Power…1.5km、High Power…1.5kmとなります。
自分が指導しているチームが、どの位のレベルで、どの位のアクチュアリー・タイムなのか。
それぞれの環境・状況に合わせた解釈が必要となります。
そして、この特性と状況を照らし合わせた上で、トレーニングの量を考えていく必要があります。
皆さんは実際のゲームの「量」に対して、普段行っているトレーニングの「量」をどのように感じておられるでしょうか?
多いですか?
それとも少ないですか?
次回は運動量の捉え方についてのお話をします。
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