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スパイラル・コンディショニングは、現場で要求されるいくつかの要件を満たしながら、スムーズかつセーフティに選手たちのコンディションを上げていくことを目的として、私が考案したコンディショニング理論および実践手法です。

この方法の特徴は、競技に必要な要素を「段階的漸増負荷(※)のトレーニングをサッカー・トレーニングとリンクして繰り返しながら積み上げる」という点にあります。

それではまず、説明に入る前に現場で要求される要件について具体的に説明します。

※ 徐々に負荷を増やしていくこと

コンディショニングの要件

トレーニングおよびコンディショニングにおける主な要件は下記のとおりです。

training_condition

『どのようにトレーニングを行いながら、試合に向けてコンディションを上げていくべきか』

これはチームや選手を率いるスポーツの指導者やトレーナーなら、誰もが頭を悩ませる部分です。

では、なぜこれらの要件を満たすために頭を悩ませる事になるのでしょうか。
まずは、その原因を考える上で必要なトレーニングの分類について説明をします。

トレーニングの分類

トレーニングをおおまかに分けると以下ようになります。

training_group

もちろん、いずれも必要なトレーニングですので、全て行っていかなくてはなりません。
しかし、トレーニングを行うための時間も体力も有限です。
その中で「各種のトレーニングをどのようなタイミング、時間、強度で行うことが、コンディショニングにとって最良なのか」という部分は、あまり突き詰められていないのが現状です。

そのために多くの方が、コンディショニングの要件を満たすトレーニングと問われた時に悩んでしまうわけです。

今回説明するスパイラル・コンディショニングは、私自身が現場で要求された要件を満たすために考えだした理論です。
つまり、コンディショニングにおいて良い効果が出るためのトレーニング方法を考えるための理論、そして実践手法ということになります。

要件を満たすには

前項で挙げたコンディショニングの各要件と、それを満たすために必要なことを具体的に説明します。

プレーの判断を伴う練習を常に行うためにはトレーニング期間中のプログラムにおいて、実戦的な練習が常に組み込まれている必要があります。
実戦や実践形式の練習は、その競技をする上で必要な経験(思考)と、身体能力を上げるために必要な負荷を得ることが出来ます。
長く実戦から離れてしまうことは、これらを得られないだけでなく、衰えていくことにもつながってしまいます。
コンディションが上がるまで、あるいはトレーニングの負荷が上がるまで実戦練習を行わないことは、そういう面において問題があるわけです。

長期離脱をさせない(怪我を防ぐ)ために大切なことは「どのような状況だと怪我をしやすいのか」を認識しておくことです。
もちろん、サッカーのような接触がある競技では、ある程度の怪我は仕方がない部分もありますが、トレーニングのやり方が原因となる怪我だけは防がなくてはなりません。
そのために、日々のコンディションを把握して適切な疲労の管理をする必要があります。
怪我をすれば、長期離脱だけでなく、二度と競技が出来ない体になることもあり得ますので、これは非常に重要な要件です。

ベストコンディションで本番を迎えるには、トレーニング論でも説明した「疲労と回復のサイクル」を正しく理解して、それに合ったトレーニングを行う必要があります。
具体的には、コンディションのピークを試合日に持ってくるためのトレーニングの計画をした上で、日々のコンディションに合わせてトレーニング強度の調整を行います。

トレーニング期間の初期からプレー判断を伴う実戦練習を行いつつ、疲労による怪我を防ぎ、コンディションのピークを試合日に持ってくる。
これこそが、求められている要件です。

従来のやり方

では、スパイラル・コンディショニングに基づいたトレーニングがどういった点で優れているのかを理解していただくために、まずは従来のトレーニング方法について説明します。

日本で主流になっているやり方では、「怪我を防ぐ」あるいは「コンディションを徐々に上げていく」という点を重要視した、トレーニング期間で運動強度を少しずつ上げていくというやり方でした。

old_training1

このやり方では、運動強度をトレーニングの種類で分けているため、トレーニング期間の初期では運動強度が低いとされる有酸素運動などが主体となります。

例えるならシーズン前のキャンプで、立ち上げの時期にジョギングのみのトレーニングをしていくやり方がこれです。

この方法の欠点は、トレーニング期間の後半まで実戦的な練習が行われないために、「プレーの判断を伴う練習を常に行う」という要件を満たせない点にあります。
コンディションが上がっていても、競技の感覚を失ってしまっては、元も子もありません。

また、競技につながらない形のトレーニング(サッカー選手であればボールを蹴らないトレーニング)は、それを続けること自体が選手にとってストレスになっていました。

この部分は、お子様の指導をされている方なら、特に実感されているのではないでしょうか。

前述の方式における問題点を改善することを目的として、次のようなトレーニング方法が考案されました。

old_training2

このやり方は、競技の感覚が失われることを防ぐために、サッカー・トレーニングとフィジカル・トレーニングを平行させ、実戦的な練習が常に行われるようにしたものです。
これにより前方式での「競技の感覚が失われる」という問題は解決された形になりました。

ところが、この方法では別の問題があります。
それは、平行する二つのトレーニングが時系列でリンクしておらず、トレーニングの種類によって負荷のかかり方に差が出来てしまうという点です。

簡単に言うと、フィジカルトレーニングの低負荷の時期から、サッカートレーニングだけが高負荷になる可能性があるということです。

このトレーニング強度のギャップは怪我をするリスクを高めてしまいます。
そのため、最初の方式で解決されていた「長期離脱をさせない(怪我を防ぐ)」という部分が解決されません。

このように、従来の方法では現場で要求される全ての要件を満たすことが難しくなっていました。
その上、それらの問題は仕方ないこと、あるいは自己責任、と現場でも考えられてすることが多々ありました。

なお、これらのトレーニング法とは対極的に、いきなり実戦的なゲーム形式のトレーニングから始めるやり方もあります。
これは主に、ヨーロッパなどで行われる方法ですが、文化と習慣に支えられている部分が多分にあり、準備段階も含めて、そのトレーニング方法に身体が対応していることが前提にあって成立しています。

文化が違う日本において、単純にトレーニングの部分だけを導入しても、この形は成立しないでしょう。

スパイラル・コンディショニング

ここまでで述べてきたとおり、従来のやり方はコンディショニングに対する現場からの要件を満たすことが難しいものでした。

しかし、私は現場での試行錯誤によって、それらの要件を全て満たすことが出来るやり方を確立しました。

それが「スパイラル・コンディショニング」です。

私は現在もこの方式で現場のトレーニングを実施していますが、コンディショニングに関する要件を最も満たせるやり方であると実感しています。

では、具体的な説明に入りたいと思います。
まずは、このイメージ図を見てください。

spiralmodel

この図は、各トレーニングを実施する順番を示しています。

螺旋(スパイラル)で上昇する矢印がフィジカル・トレーニング中央の矢印がサッカー・トレーニングを表します。
矢印の方向へトレーニングを進めていくので、下から上へトレーニングを行っていくと考えてください。

スパイラルの各色は、フィジカル・トレーニングの種類を表しており、ちょうど3色で1周します。
これをフィジカル・トレーニングの1サイクルと考えてください。
(青:ローパワー、紫:ミドルパワー、赤:ハイパワー)

スパイラル・コンディショニングでは、各種トレーニングを全て強度で段階的に分け、各強度ごとに「フィジカル・トレーニングの1サイクル」と「サッカー・トレーニング」をワンセットで行います。
これにより、常に実戦的トレーニングも出来ますし、各トレーニングでの負荷のギャップも生じません。

そのため、コンディショニングによって要求される全ての要件を満たすことが出来ます。

最後に

スパイラル・コンディショニングでは、フィジカル・トレーニングとサッカー・トレーニングの両方を合わせてコントロールする必要があるため、フィジカル担当者や指導者だけでなく、選手も含めた全てのメンバーがやり方を理解をした上で、グループワークとして行うことが必要になります。

この方法を導入するときには、チームの全スタッフそして選手に理解してもらうところから始めましょう。

以上がスパイラルコンディショニングの説明です。

トレーニングやコンディショニングで困っている方はぜひ導入をご検討ください。

【参考】
トレーニング論 第2章-1部「プログラムデザイン」
トレーニング論 第2章-2部「プログラムの実践内容」

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